金剛三昧院の木造愛染明王坐像が国の重要文化財に指定されます
令和7年3月21日(金)に開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、高野山の金剛三昧院に所在する木造愛染明王坐像が重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申されました。
木造愛染明王坐像(もくぞうあいぜんみょうおうざぞう)(時代:鎌倉時代 所有者:宗教法人金剛三昧院)
今回指定される木造愛染明王坐像は、金剛三昧院本堂に本尊として祀られる像高114㎝、寄木造の愛染明王坐像です。迫力のある忿怒相や充実した体躯は、鎌倉時代の作風を示し、その他、像にみられる特徴から様式的な制作年代は鎌倉時代末頃と推定されます。
また、金剛三昧院が所蔵する『金剛三昧院文書』によると、文保2年(1318)に安達時顕(あだちときあき)が安達義景女(よしかげのむすめ)(北条貞時母)と北条貞時(さだとき)(鎌倉幕府9代執権)の菩提を弔うため、荘園を寄進し愛染明王を造立したとあり、様式から推定する製作年代と古文書の記録が一致します。
本像は、鎌倉時代の大型の愛染明王の優品であるのみでなく、史料から制作時期や制作の契機や願主が明らかな点についても注目されます。