地籍調査でおこなう処理について
1.現地確認不能、不存在
以前から存在していなかったと思われる土地については「不存在地」となります。
不存在の処理をすれば登記簿から抹消されるため、処理をする為には所有者の承諾が必要になります。
上記以外の確認できない土地、または上記の場合でも所有者の承諾がない場合は「現地確認不能地」となります。
現地確認不能の処理をしても登記簿はそのまま保存され、現地確認不能と記入されることになります。
2.筆界未定
境界で争いがあったり、隣接土地所有者の立会が無いなどして、今回の地籍調査で杭を入れることが出来なかった場合は「筆界未定地」となります。
筆界未定の場合は杭が入っていないので地籍図には筆界の記載は無く、筆界未定に関連する地番が足し算の形式で表示されます。
○例.地番3と4が筆界未定の場合3+4になります。
筆界未定の処理をした場合、分筆、合筆、地目の変更、面積の訂正は出来ません。(氏名、住所の訂正は出来ます)
登記簿の記載事項は以前の通りとなりますが、筆界未定の記載が追加されます。
調査終了後に境界が決まっても地籍調査事業では処理することができません。
したがって個人の費用にて現地測量し、法務局へ関係書類を添付して筆界確定の手続きをする必要があります。
3.地目の調査
地目は現況により調査し登記簿地目と異なる場合は変更します。
ただし農地(田、畑)については調査後まとめて農業委員会へ報告し、承認を受ける必要があります。
地目が変更された正確な日付がわかる場合にはお知らせください(宅地等で建築された日がわかる場合等)
4.合筆
以下の条件を全て満たしている土地同士は合筆できます。
- 所有者(登記名義人)が同じ
この場合の登記名義人とは甲区記載の所有者のことです。
同一人物でも氏名、住所が違うと合筆できませんので後述の氏名、住所の変更が必要です。
また所有者既登記の地番と未登記の地番とは合筆できません。ただし 既登記同士、未登記同士なら合筆できます。 - 現況の地目が同じ。
- 土地同士が隣接している。
- 同じ小字の中にある。
- 抵当権、質権、先取特権の登記がある場合は合筆しようとする土地全てに同じ権利設定がされていなければならない。
その他の権利設定(地上権、地役権、所有権の仮登記等)がある場合は同じ権利設定であっても合筆はできません。
合筆するには所有者の同意が必要です。
調査後の地番は合筆した筆の中で一番若い数字のものになります。
○例.2-2、2-3、5を合筆した場合は2-2になります。
宅地等で住民登録されている地番がある場合はお知らせください。
○例.上記の場合で5に住民登録されている場合は5が地番になります。
5.分筆
一筆の中に地目の異なる部分がある場合や、管理区分が異なる場合は分筆する必要があります。
部分的に地役権が設定されている土地は、設定を解除しないと分筆できない場合があります。
分筆するには所有者の同意が必要です。
調査後の地番は元の地番に枝番をつけたものになります。
○例.10を10-1、10-2に分割
ただし枝番がすでに使用されている場合はその後の数字を使います。
○例.10、10-1、10-2が既に存在する場合10を2分割すると10-3、10-4となる。
6.一部合筆
地籍調査では調査時に分筆した土地と他の土地とは合筆できないことになっています(合筆した土地を分筆することは可能です)。そこで土地の一部を他の土地に合筆する場合一部合筆の処理をします。
一部合筆の条件は合筆の場合と同じです。
一部合筆の場合も合筆と同様に所有者の同意が必要です。
○例.地番1の一部を2に一部合筆した場合、地番はそのまま1と2が残り筆界だけが変わることになります。
7.所有者氏名、住所の更正
下記のような場合で現在の氏名、住所が登記と異なる場合は申請をしていただくことにより更正することが出来ます。
- 婚姻、離婚、養子縁組、改氏、改名等による氏名の変更
- 登記当時の錯誤による氏名、住所の訂正
- 住所を移転した場合
- 住居表示による変更
所有権の移転は地籍調査では出来ません。あくまでも所有者本人の異動事項のみ変更できるということになります。
登記名義人が死亡している場合は基本的に氏名、住所の変更は受け付けていません。
8.面積測定に基づく地積の訂正
現地に設置された杭を測量した結果が登記簿に記載されている面積と異なる場合には地積錯誤の処理をします。
測量結果と登記簿の面積が全く同じになることは稀で大体の土地がこの処理を行なうことになります。
ただし分筆、合筆等の処理を行った土地や筆界未定などで境界のわからない場合には地積錯誤の処理を行ないません。
地籍調査処理フローチャート